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  第4回東海障害者歯科臨床研究会    総会および学術大会

第4回東海障害者歯科臨床研究会開催のお礼

第4回 大会長
愛知県心身障害者コロニー中央病院歯科
石黒 光

  
 さる7月8日の第4回東海障害者歯科臨床研究会には151名のご参加をいただきまして、誠にありがとうございました。今回は、これまでの大学主催と異なり、病院歯科の小組織での運営ということで、認定研修会は行わず「総会および学術大会」のみとさせていただきましたこと、どうかご容赦下さいますようお願いたします。

今研究会はミニ学会という観点ではなく、学会では取り上げにくく、またタイムリーな話題を、できるだけ堅苦しくない形式で、とのコンセプトで開催しました。そこで、近年、医療的ケアを要する在宅重度障害児の増加を見すえて、私達が地域で、どのような支援ができるかを考える機会にしたいとの思いで、基調講演とシンポジウムを企画しました。

 基調講演は、名古屋大学大学院医学科に日本で2番目に今春誕生した障害児(者)医療学教授の三浦先生に、「重症児の医療福祉の現状と課題」についてお話しいただきました。それを受ける形のシンポジウムでは、重症児のお父様の出生後からの本音の苦労話にはじまり、その子供たちを看護する訪問看護ステーションのナース、学齢期になって通学する特別支援学校で摂食嚥下コーディネーターとして活躍する教師、さらには学齢後に地域でデーサービスを受け入れる施設職員に、それぞれの立場で主として、食べる機能の問題点について述べていただき、合間に関連の方々や三浦教授からコメントをはさみながら議論を進めました。その上で、歯科側から実際に重症児の訪問歯科診療やリハビリを行なっている歯科医と歯科衛生士に摂食嚥下障害に関する取り組みを紹介いただきました。その中で、地域の重症児に対しては、こうした多職種間でのネットワークで支えていく必要性が強く求められること、その中で口腔に関わる歯科関係者の関与が、今後ますます期待されてくることなどが、話し合われました。

 障害者歯科の中でも、これまであまり陽の目が当てられなかった在宅重症児問題について、多少なりとも意識をもっていただき、それぞれの機関で少しずつ取り組みが行われるきっかけになれば、今大会の意義があったかと思います。

 大変多数の方々のご参加にこころより感謝し、運営面で不手際があったことをお詫び申し上げます。

                                                                 大会ポスターダウンロードはこちら       

大会テーマ 在宅障害児(者)に対する歯科的支援を考える
 〜医療的ケアを要する患者の増加を見すえて〜

概要 日時:平成24年7月8日(日)
     
幹事会  12:00〜  6階  C
         総会  13:00〜  8階ホール
      講演・シンポジウム 13:15〜16 : 30  8階ホール
場所:TKP名古屋駅前カンファレンスセンター 
      〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅2-41-5 CK名駅前ビル


参加者

 歯科医師 71名 歯科衛生士 62名 看護師10名 その他8名     合計151名
大会内容

1)基調講演           
  座長:名和弘幸 先生(愛知学院大学歯学部小児歯科学講座 講師)

        
 

 重症心身障害児(者)医療福祉の現状と課題
 〜地域でみんなで連携して支えよう〜   
 
    三浦清邦 教授 (名古屋大学大学院医学系研究科 障害児(者)医療学)

                  
                            参考新聞記事      

2)シンポジウム  
  
在宅障害児(者)に対する歯科的支援を考える
  〜医療的ケアを要する患者の増加を見すえて〜



シンポジスト(敬称略) 職業 所属
三浦清邦 医師 名古屋大学大学院
医学系研究科 
障害児(者)医療学
森 一成 保護者父 名古屋市
吉野千重子 看護師 港区訪問看護ステーション
丹羽陽一 教諭 NPO法人ひろがり 
特別支援学校教諭
杉野孝利 施設職員 生活介護事業所むつみ 
グリーンハウス
良盛典夫 歯科医師 多治見市歯科医師会
柴田享子 歯科衛生士 名古屋市総合
リハビリテーションセンター附属病院


その他画像はこちら
単位 日本障害者歯科学会認定歯科医、歯科衛生士申請用5単位
日本歯科医師会生涯研修単位5単位


参加者VOICE
参加者 Voice
                 つながる・・・ということ

                     多治見口腔ケアグループ  はねっと 
                     訪問歯科衛生士  朝川 世津子

  平成24年7月8日(日)、東海障害者歯科臨床研究会 総会及び学術大会に出席させていただきました。梅雨明け間近の暑い日でしたが、名古屋駅からほど近い会場に入るや否や、ものすごい参加者の方々の熱気で、あぁ、ここもアツい!と皆さんの熱意を感じながら開会の時を待っておりました。
 
今大会の大会長でいらっしゃる愛知県心身障害者コロニー中央病院の歯科部長・石黒 光先生はじめ、チームスタッフの皆様方、大会運営お疲れ様でした。大変な盛況で、懇親会も含め、大成功でした。ありがとうございました。
 さて、このような障害者歯科分野の学術大会に、名古屋大学大学院医学系研究科 障害児(者)医療学教授にこの度就任されました三浦清邦先生のお話が聴けるという事は、大変光栄なことだと思います。また、それだけ、医療連携が重要で、特に障害児(者)にとってはチーム連携・地域も巻き込んだ多職種連携が無くては、もはや“支える医療”が成り立たないという現実があります。しかしながら、現状としては、まだまだ、足りない物・システムの未構築・法整備の遅延遅滞・・・だらけだと痛感します。

 
重症心身障害児(者)の医療ネットワーク・・・奇跡のトライアングル にどの子ももれなく当てはまれるような社会がくることを願っています。“最も弱いものをひとりももれなく守る“ 或る親の会の会則の一つとして紹介下さいました。心に残る一言でした。
 
基調講演の三浦先生のお話は、何度となく各所で拝聴しておりますが、いつもよどみなく、分かりやすく、豊富な資料で聴く側を引きつけていくオーラには毎回感心させられます。
 
障害を持った子が大好き!・・・そう仰って憚らない三浦先生。そんな先生のような存在が国内にお二人とは・・・大変貴重な存在でいらっしゃいます。この東海エリアにいらして下さることを心強く思っています。今後とも、よろしくお願い致します。

 第2部は“在宅障害児(者)に対する歯科的支援を考える“シンポジウムでした。パネリストの先生方も、実際に現場でご活躍されていらっしゃる立派な先生方ばかりでした。そのパネリストの方々のお話で、最も心打たれましたのは、重症児の5歳女児のお父様のお話でした。心底からの本音の部分を、飾りのないご自分の言葉で、障害児の親としての心情を吐露されたその勇気と情熱で会場の涙を誘いました。しかしまた一方で笑いも交えながらのお話を伺い、お子さんと共に歩んでおられるその日々のお姿が目に浮かびました。ある意味、微笑ましくもありました。きっと、よいお父さんでいらしゃるのだろうなぁと。
 
シンポジウムはその5歳のお嬢さんの医科と歯科との関わりとそこから在宅での口腔ケア・口腔機能訓練の介入へのプロセスと経過報告の形となりました。ここに、奇跡のトライアングルに恵まれたひとりのお子さんの姿がありました。
 
まずは訪問看護師の介入から、訪問歯科衛生士の訪問口腔ケアへとつながって行き、彼女を取り巻く環境が変化していきます。口腔機能訓練の結果、ある日、舌が動いた・口角が動いた・・・そんな些細な事が嬉しかった、不覚にも泣いてしまった・・・とお父様は仰っていました。それは24時間、傍らで支え続けているご家族にとって、何よりの喜びであろうかと思います。
 
普通の人が普通にできている普通の何でもない事が、彼ら、彼女たちにとってはゆっくりと時間をかけてやっと習得できる大変な大仕事・・・なのですね。
 
私も、微力ではありますが、そんな支援を必要としている方々のほんの一端を担がせていただいております。しかし、まだまだ、現状はマンパワー不足・人材不足を感じざるを得ません。愛知県歯科衛生士会においても訪問歯科衛生士の人材育成に努めて下さっていますが、圧倒的に絶対数が足りていないのです。
 
また同様に、地域で障害児(者)を診て下さる、歯科医療機関及び歯科医師の先生もほんの一握り・・・一点集中してしまい、パンクしてしまいます。地域を飛び越えて、遠方より遥々通院せざるを得ない患者様もおられます。
 
この場をお借りして、僭越ではございますが、多くの歯科医師の先生方・各地域の歯科医師会等にもご協力をお願い致したく存じます。
 
人と人とがつながる・・・偶然かもしれないけれど・・・奇跡的かもしれないけれど・・・今回のシンポジストの先生方の様に、訪問看護師さん・歯科医の先生・歯科衛生士さん・各セラピストの先生・学校の先生、あるいは地域の支援事業所等々と、本当に多くの人と人が出会って、つながって、一人の障害児(者)をサポートする社会になることを願います。誰もがトライアングルの中に入れるような社会になる事を願います。
 
それがほんの一握りではなく、地域の格差なく、くまなく誰もが普通に生きられるような社会ができることを願って止みません。
 最後に、この会が今後もますますご発展されますよう心よりお祈り申し上げます。

       

            第4回東海障害者歯科臨床研究会感想

                  愛知県立心身障害児療育センター 第二青い鳥学園 
                             歯科衛生士  上出清恵

今回のシンポジウムの中で障がいを持つ児童の保護者様のお話の中に『3才の頃から口腔リハビリを始め、最初は怖いながらも指導されたことをこなし、1ヶ月ぐらいで変化がみられるようになった。今までなかなか目に見えてのいい変化が見られなかったので泣くほど嬉しかった。』と言われていました。また、誤嚥性肺炎を繰り返し起こしていたのがリハビリを行うことによって改善されたとのことでした。歯科衛生士の立場からできることの多さを改めて感じることができ、自分自身も何かできることをしていきたいと強く思うことができました。今後さらに増加していく重症心身障がい児・者を支える一員になれるよう努めていきたいと思います。今回の研究会に参加して本当に多くのことを学ぶことができました。ありがとうございました。
      

      

第4回 東海障害者歯科臨床研究会に出席して

                              名古屋歯科医療センター 
                      非常勤歯科医師
 趙 賢愛

  基調講演、シンポジウム共に大変有意義でしたが、特に興味深かったのは、保護者の森様とそれに関わる方々のお話でした。患者さんや御家族の現在までの道のりや困難な状況、その中での成長の喜びなど、率直で実感のこもった言葉で語っていただき、大変感銘を受けました。その過程で、医療者同士のつながりから医療ネットワークがリアルに構築されていく様子がわかり、それぞれの方がケアに取り組むきっかけや葛藤などをお聞きできて、ただ出来上がった理想的なトライアングルの図を見るだけでは窺い知れない、具体的な状況を垣間見ることができたと思います。今回のような、医療、教育、介護など、様々な職種の方が意見を述べ、交換される機会は大変貴重で、私自身の今後の臨床にも生かすことができればと思いました。この度はありがとうございました。

         

準備委員長レポート


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